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坂本プロデューサーの『ようこそ、横浜マラソンへ』
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坂本プロデューサーの『ようこそ、横浜マラソンへ!』
坂本プロデューサー

いよいよ本番が近付いてきました。大会プロデューサー坂本雄次による連載がはじまりました。
各回のテーマに合わせて、本人の直筆の書と一緒にお送りします。

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Vol.5 大会前夜

初めてフルマラソンにチャレンジする人にとって、大会の前夜はやはり落ち着かない時間を過ごすものです。練習は十分だろうか?天候はどうだろうか?など思いめぐらし、落ち着いて眠りにつくことができない人が多いものです。緊張と不安、一方で期待が混ざった気持ちになるのが自然です。

セオリー通りの話をすると、大会前夜は先ずいつも通りの生活をすること。炭水化物は前日だけ増やしても、カーボローディングの効果はさほどありません。食事は消化に悪いもの(極端に繊維質のものや油の多いものなど)は避けて、消化に良いものと炭水化物中心の食事が無難です。ひとつ気をつけるとしたら、寝る直前や遅い時間での食事は避けて欲しいと思います。

水分については、前日のうちからいつもより500~700ccくらい多く飲んで、身体に水分をため込んでおくこと。人間の身体はランニングによって体温が上がると、発汗により体温調整するようにできているので、身体から出る水分を給水によって補い、体内の水分を一定に保つことが大切です。これで身体バランスを保つことができます。発汗量は当日の気象条件によってかなり異なりますが、発汗と給水のバランスを保たないと脱水症状を引き起こしてしまうので要注意です!

当日の準備は前夜のうちに済ませておきたいですね。キャップ・シューズ・ソックス・タイツ・Tシャツ・薄手のウィンドブレーカー・手袋・リストウォッチ・ナンバーカード(記録計測タグ付き)・小銭あたりは前夜の間にチェックしておきましょう。ナンバーカードはいちばん上に着用する衣類(Tシャツまたはウィンドブレーカー)に安全ピンで取り付けておくこと。当日は起床からスタートするまであっという間、手間取る作業は、ゆとりのある間に済ませておいた方が慌てないですみます。

当日の朝食はスタート時刻から逆算して3時間前までに済ませておくこと。内容は消化に良い日本食が良いでしょう。用便は会場のトイレが混雑することを見越して、自宅か会場に着くまでに済ませることをお勧めします。スタート直前やレース中のトイレは大変込み合います。「しまった!」ということにならないよう、要注意です!

さて、本番です。よく見かける光景ですが、腕や掌に距離毎のペースをボールペンなどで書いている、初マラソンと思われるランナーがいます。おそらく几帳面な性格なんでしょう。もちろん、初めてのレースだから大いに確認はして欲しいし、それも後から振り返ると良い思い出になると思うから無駄なことではないと思います。が、数か月から一年くらい準備をしてきての本番ですから、スタートラインに就いたことで第一ステップは成功だと私は思っています。

自分のやってきたことを信じて、42.195kmの間に起こる様々な変化には「出たとこ勝負!」といった開き直りの気持ちでスタートの合図を待てば良いです。最初から遥か先のゴールを意識せず、まずは10kmまで。10kmに着いたら次は折り返しのハーフまで。次は35km地点まで、と目標を小刻みに置くのです。クリアする毎に、自信出て、気持ちのコントロールがしやすいです。もっといえば、「次の給水所まで」くらいの目標の置き方は、気持ちが楽です。

ランニング中は心肺への負担より筋疲労(具体的には筋肉痛)との折り合いの方が支配的です。筋肉痛はどのみち起きることなので、レース中はともかく筋肉や筋の柔軟性を失わないように、こまめにストレッチすることを強くお勧めします。特に20~25kmを過ぎたあたりから筋肉の柔軟性が一気に落ちてきます。時間を決めてやるか、給水所毎にやるか、ともかく屈伸・伸脚・体側伸ばしをこまめに、丹念におこなうことで、少しでも筋肉の柔軟性を維持するように心掛けること!

35kmを過ぎたらゴールまでは7kmちょっと。首都高を抜けて本牧ふ頭D突堤あたりからの残りは、必ず気持ちが奮い立ってくるはずです。よく、「気持ちが身体を引っ張る・・」といいますが、最後の5~7kmは身体より気力の有無が成否を分けてゆきます。臨港パークにフィニッシュする自分をイメージしながら一歩一歩進んでください。

フルマラソン・42.195kmには起承転結の物語があります。ここまでやってきたトレーニングを振り返り、家族や友人を思い、自分を信じて走る・・・。身体と気持ちに問いかけながら腕を振り、歩を進めたその先に「ゴール」という句読点を実感することができる・・・「あなたにとっての横浜マラソン」を満身で実感してみてください。

 
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